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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2004-04-05 (Mon)

[Thoughts] Understanding is a kind of ecstasy!

引っ越し

床に平積みになった書籍や資料の山に家族からクレーム。やむなく、まるでヤドカリが殻を脱ぎ変えるようにお引っ越し。本達も、本来収まるべき場所に住まいを見つけ、なんだか幸せそうだ。

とりあえず、Priority をつけ重要な本を目の前の棚に並べてみる。中でも優れた書は、手に取りやすいように右端へ移動。そして、一歩離れて、全体像を眺めてみる。すると、自分が全体のごくごく一部しか理解できていない事実に驚かされる。まるで、世界地図上で Far east に位置する小さな日本のようだ・・。

Dr. Dale Dubin

本棚に並べられた書籍達を前に、自分の無力さを痛感させられる日々を過ごしていたある日、図書館の新着書籍コーナーで素晴らしい書籍に出会った。その本の名は「Ion Adventure in the Heartland」。著者は、明解な心電図入門書で世界的に有名な Dale Dubin 博士であり、心筋細胞内部で起こっている驚くべきからくりを、分子レベルから解説した画期的なテキストである。

内容の素晴らしさもさることながら、mentor に対する感謝の言葉で始まる前書きや、読者へのメッセージ、そして作品全体に溢れる博士の学問に対する愛情、そしてその姿勢に、深く心を打たれる。一冊の書籍に対して、これほどの畏敬の念を抱いたのは、初めてのような気がする。

Wataru's memo を訪れてくださるほとんどの方々にとって、本書は興味の範囲外にあると思われるが、Dubin 博士の精神を、各章の最初のページで引用されている言葉の一部から読み取って頂ければ幸いである。

まずは、Albert Einstein 博士の言葉。

"All theories ought to lend themselves to a description so simple
 that even a child could understand."

そして、Carl Sagan 博士の言葉。

"Understanding is a kind of ecstasy."

なんて簡潔にして素敵な言葉達なのだろう!「物事の本質は簡明であり、その仕組みを理解する楽しさはエクスタシーにも等しい」とは。

Dubin 博士は、Einstein 博士の言葉を文中でもうひとつ引用している。

"The search for truth and knowledge is one of the highest qualities of man."

勇気づけられる言葉達と本書を贈ってくださった Dubin 博士に、心より感謝したい(本書は Cover Publishing 社から本学図書館への寄贈)。