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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2012-06-02 (Sat) 新しき船出

[Thoughts][Publish] I'm alive.

お久しぶりの西田です。ネット上での2年以上にわたる沈黙は、ほとんど"他界"を意味するかと思いますが、おかげさまで元気です。この夏、長年勤務してきた大学での生活に終止符を打ち、愛媛県松山市にて糖尿病専門クリニックを開院することになりました。それと同時に、しばらく停滞していた出版業を再開し、Computer Architecture Seriesの第二弾をお届けするべく、準備を進めています。

私の本職が内科医であることをご存じでなかった方は、"開業の報"に戸惑われているかもしれません。なぜ人を診察するはずの医師が、GCCプログラミング工房や、GNU開発ツールを執筆していたのか?詳細については、おいおい述べていきたいと思いますが、私にとって技術書を執筆することと、外来で検査結果や治療内容を説明することは、いずれも等価な仕事なのです。最近は、一般市民向けだけでなく、医療従事者向けにも講演を依頼されることが多いのですが、糖尿病の講演に向けた下調べと、GNU Compiler Collectionの解説を書くための下調べには、同じ技術を用い、同じだけの手間暇をかけています。

そしてまた、優れた技術書が絶対的に不足しているように、糖尿病に関する書籍や情報もまた、悲劇的な状況にあります。今の日本において、糖尿病というのは、決して"他人"がなる病気ではありません。この文章をお読みのあなたや、ご家族、未来の子供さんも、いずれは数人に一人が糖尿病もしくは耐糖能異常(糖尿病予備軍)を発症する。私達は、そのような危機的状況の中で、生かされているのです。しかし、誰もこの事実を伝えようとしていません。書いているのかもしれませんが、彼らの言葉は読者に届いていないと、私は思うのです。今後、オーバーシー・パブリッシングでは、技術解説書だけでなく、健康に関する読み物も提供していきたいと考えています。

最後に、Computer Architecture Seriesの第二弾ですが、2006年出版のGNU開発ツール以来、実に6年ぶりの執筆になります。内容ですが、私が20年来暖めてきた「ハードウェアとソフトウェアの融合」がテーマです。詳細については、このページや、Twitter (@oversea_pub)で紹介していきますので、お楽しみに。